『発達障害は治りますか?』まとめ4 一次障害は治せるか
- 作者: 神田橋條治
- 出版社/メーカー: 花風社
- 発売日: 2010/05/25
- メディア: 単行本
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『発達障害は治りますか?』の最後のまとめです。
今回はタイトルの回答の部分でもあります。
ここまでも
「それじゃ血流をよくして、脳の疲労を回復させようか」
など答えのような物がすでに出てました。
◆ポイント
・治療の基盤は学習
・手先を使う作業
・ミラー・ニューロンの育成
という感じでしょうか。
下記、抜粋です。
<第六章 一次障害は治せるか>
P228 運動で身体を鍛えると筋肉がつくように、脳も鍛えるとそれまでつながっていなかったシナプスをつなげることができたり、代償的なバイパスを育てることができると考えています。
自閉症スペクトラムの人はミラー・ニューロンメカニズムの問題があることが多くの研究で分かっています。
だからもしミラーニューロンを育てることができれば、発達障害の人も「関係性」をつかむことができるようになります。
SSTで膨大なパターン暗鬼をするよりも、根本的な生きやすさを獲得できるようになります。
P234 グループ療養の中ではジェスチャーゲームもよくやってもらうことがあります。
P251 治療の基盤は学習なんですよ。だからこそ、どういうメカニズムで不具合が起きているのか、きちんと教えることが治療につながるんです。
P266 認知や気分が身体に影響を及ぼすことはよく考えてらっしゃるとお思います。一方で、身体が変わることで認知や気分が変わるということを意識していらっしゃるお医者様は多いですか?
昔は多かった。 今はもう、身体の病気をすごく見落とすんですよ。DSMがそういう原因を考えないことになっているから。
P269 「あなたにはしっかりと話を聞いてくれる人が必要ですよ。どっかで探しなさい」
「話を聞いてあげるのに一番いい人は自分です」
「話者として適切で言葉もずれがない。
だから、しばらく自分でやってみなさい。」というの。
P273 身体と身体の触れ合いは、すごく感動的な話を聞くよりも、「これが人を受け入れるということだ」とわかって、言葉よりもすごく大きかったです。
P274 人間の脳は直立して手首から先を使うようになってから発達したので、手首から先を複雑に使うような仕事は健康にいいし脳を発達させるんです。で、どんな作業があるかねっていうと、ほとんど家事なんです。
手首から先を使うのと、鏡の前で百面相体操をするのが脳の発達にはとてもいいと思うんです。
発信を練習することによって、受信もよくなるんです。受信をトレーニングすることによって発信の方もよくなりそうに思うけど、それは難しいですね。
だからヒマがあったら百面相体操をすると、ミラー・ニューロンの育成につながると思う。
P276 一人芝居って結構訓練になると思います。
P279 こういうブラックユーモアがあるの。負での痛みを取る一番確かな方法は腕を切り落とすことだ、ってね。精神科の薬の作用はちょっとそれに近い。脳の働きを抑えて悩みから解放するんだから。
とくに発達障害の人の脳には処方は少量にしなくてはいけないということが、だんだんわかってきましたね。ふつうの人の八分の一や十六分の一でいいこともある。
P280 精神科の薬を減らしたいから、バッチフラワー・レメディとか、そういうものも探り入れている?
P283 酒量が減る良い方法?
焼酎風呂がいい。
杯半分くらいでいいから。
<第七章 養生のコツをつかむコツ EBMと代替療法>
P286 僕が代替療法を薦めるのはね、患者さんが自分で取り組めるからなんです。本を買って来てどういうものにどういう作用があるのかとか勉強をしてみて、じゃあ自分にどれが合いそうかを考える。これがもう自己セラピーの始まりなんです。
P288 だから僕は、代替療法を薦める時には次の三つを大切にしているんです。
1.自分でできて
2.金がかからなくて
3.できたら身体の中に何かを入れない
<感想>
私は作業療法士という仕事をしています。
作業をすることで、治療に生かすという仕事。
この本の内容は、作業療法でカバーできることがかなりあった印象です。
今まで教科書にはこの本のようなエビデンス(というか推測)が載ってませんでした。
なので、なんでやるのか半分くらいしか理解してなかったように思います(精神科では1年半のみ勤務)
残念ながら職場の異動があり、この本の内容を生かしづらい環境になってしまいましたが、今の職場でも行かせていけたらいいなと思います。