『発達障害は治りますか?』まとめ1
おれの尊敬する神田橋語録の先生の対談本です。
http://hatakoshi-mhc.jp/kandabasi_goroku.pdf
発達障害についての議論。
重要だと思った部分のまとめと感想です。
◆冒頭のマンガより
患者さんを目の前にすると、
神田橋先生「それじゃ血流をよくして、脳の疲労を回復させようか」
と言うらしいです。
◆神田橋先生の提唱
1 発達障害は発達する
そして、
2 二次障害は治せる
そして
3 誤った治療による三次障害を阻止しなくてはいけない
そもそも
4 治療なき診断はただのあら捜し
にすぎない。だって、
5 患者の状態を少しでもよくするのが治療者の義務
だろう。でも治療に当たるのは医療者だけでなく、
6 当事者や家族が自分で、安価に、自宅でできる療育・養生のコツを考案するのも治療者の仕事
P22 どうして、発達障害はよくならないという考えを変えないのか
ひとつは親のせいにされていた時期が長くて、その名誉回復のために生まれつきの障害だって強調しなきゃいけない時期があった
P23 発達障害とは、脳にシナプスの発育のおくれがあるということです。
シナプスの結合ミスが起きているということらしいです。
一般の人との間にきれいな連続性がある。
脳には可塑性があるというエビデンスがどんどん出てきている。
P24 脳を変えていくには運動が大事
P25 もともと作業療法士は対症の方を見るときに医学診断にとらわれすぎないようにして、その人の特徴を様々な視点からとらえていく。
P28 診断には三種類の機能があります。
1.行動指針
2.専門家の間の共通言語
3.患者さんに対する説明の道具
P31 僕(神田橋先生)はなんでも、ちょっとでもいい状態を作れば、自然治癒力が発動するんじゃないかという考え方。
脳に悪影響を及ぼしているのは姿勢。
ゆがんでいる身体というのは、歪みを維持するため緊張している
そこにショックを与えてそこが緩まないと動かしても歪みが動かない。
P39 今日は大雑把に治したから、バレエストレッチみたいのされると効果があるかもしれません。
みんなは外の環境を整えようとするでしょう。
僕は身体という脳の外の環境を整えてあげれば成長の助けになるんじゃないかと。
P45 最近僕がわかってきたのは、発達障害の人はなるべく精神科のお薬を多量にのませないほうがいいということです。
脳の発達を妨げるみたい。
P47 フラッシュバックでもなんでも、とにかく治しやすいところから治せばいいんだ。
行動療法治療の名人、山上敏子先生もそう言っている。
P49 治りやすい治りにくいというのは感触でわかります。その症状の「ゆらぎ」。ゆらぐものは、動きやすいんじゃないかと思うんです。
P50 症状をポジティブないみづけにすればいいんですね。
「問題行動の中にその人の強みがある」
<感想>
「少しでも良い状態を作る」というアプローチ方法は、『改訂 精神科養生のコツ』と同じく、自然治癒力を信じたものだと感じました。
姿勢をよくする、運動をする → 血流をよくする → 脳の血流をよくする → 脳の疲労を回復させる → 自然治癒力が発動
こんなにシンプルにまとまるんですね!!
そして、なんだか作業療法士のアプローチ方法そのものです!!!
作業療法士の本にはあまりエビデンスが載ってなかったりするのですが、やっていることは上記を目的としているのだと思います。経験的にわかっていたんでしょうね。
この後、実際に作業療法士の先生が出てきます。
(つづく)